鎖に繋がれた象のおはなし。人を成長させるものとは。
Twitterで見かけた「鎖に繋がれた象」の話。
有名な話みたいですね。
自分もどこかで聞いたことがあるような気はしました。
ざっとこんなお話。
私は子供の頃サーカスが大好きで、中でも動物ショーがいちばんの楽しみだった。
特に象がお気に入りだったんだけど、実は私だけではなく他の子供にとってもいちばん人気だったようだ。
その大きな動物は舞台に上がると、持ち前のすさまじい体重や図体、怪力をみごとに披露していた。
しかし演技が終わって次の出番を待つあいだ、象はいつも地面のちっぽけな杭に足を鎖でつながれていた。
ところがその杭というのは、地面にいくらも打ち込まれていないような小さな木のかけらなのだ。
確かに鎖は太く頑丈そうだったが、木を根こそぎ一本引き抜くほどの力を持った動物なら、杭をひっこ抜いて逃げることなど簡単そうなのに……。
その疑問は誰もが抱くものだろうと思う。
――一体何が象を捕まえているんだろう?
――どうして逃げないんだろう?
五、六歳だった私は、大人は何でも知っているとまだ信じていた。だから象の謎について先生や父親、周りの大人たちに聞いてみた。
象は飼い馴らされているから逃げないんだよ、と答えた人もいた。
そういうとき、私は当然次のように質問を返した。
「飼い馴らされているんだったら、どうして鎖につながれているの?」
しかし、つじつまの合う答えが返ってきた覚えはない。
時とともに象と杭の謎については忘れ、同じ思い出を持った人に出会ったときに思い出すくらいだった。
数年前、たまたま、その疑問に答えられる本当に賢い人に出会った。その答えはこうだ。
「サーカスの象が逃げないのは、とっても小さいときから同じような杭につながれているからだ」
僕は目を閉じて、生まれたばかりのか弱い象が杭につながれているところを思い浮かべた。
そのとき象は、押したり、引いたり、汗だくになって逃げようとしたに違いない。
でも努力の甲斐なく逃げることはできなかった。
小さな象にとって、杭はあまりに大きすぎたのだ。
疲れきって眠ったことだろう。
次の日もまた逃げようと頑張って、次の日も、そのまた次の日も……。
ついにある日、その象の一生においていちばん恐ろしいことになるその日、象は自分の無力さを認めて、運命に身を委ねたのだ。
サーカスで見る大きく力強い象は、かわいそうに“できない”と信じ込んでいるから逃げないのだ。
生まれて間もないときに無力だと感じた、その記憶が頭にこびりついている。
そして最悪なのは、二度とその記憶について真剣に考えなおさなかったことだ。
二度と、二度と、自分の力を試そうとはしなかったのだ。
ためしよみ『寓話セラピー』より抜粋
象は、とても賢い動物だそうです。
とても賢いがゆえに、学習してしまった。
「無駄なことだ」
「繰り返しても意味がない」
自らの実体験として、それを覚えてしまった。
この話を聞いてどう思いましたか?
「自由もなく鎖に繋がれてかわいそう」
「もう一度試せば解放されるのに、馬鹿だなぁ」
自分は「それも一つの道かなぁ」と思いました。
生きるために無駄な苦労をしないことは、動物としてとても賢い。
サーカスの象は、鎖に繋がれて野生を失い飼いならされ、だがしかし人間に使われている限り狩りをせずとも餌が食べられる。外敵に襲われる心配もない。
生存の道として、間違った選択ではないと思います。
でも自分がもしその象だったら。
自分が鎖で繋がれた横を、野生の猫がのんびりと横切った時。
空を見上げて、鳥たちが自由に飛び回っているのを見た時。
きっとその眼差しは羨望に満ちていると思います。
「あんなふうに自由に生きられたら」
なぜ挑戦しなくなってしまったのでしょうか。
根源には「恐怖心」があります。
失敗することへの恐れ。
――逃げようとしているのが見つかれば罰を受ける・・・
自分の限界を知ってしまうことへの恐れ。
――結局頑張っても自分には逃げることはできない・・・
世界の広さを知ってしまうことへの恐れ。
――逃げたとしたってその先生きていけるかなんてわからない・・・
「挑戦」には「痛み」が伴います。
「痛み」が「恐怖心」を生みます。
もし象が真に「逃げたい」と願ったのなら、少しずつでいいから挑戦を繰り返せばよかった。
杭を引き抜こうと鎖を引く足は、鎖が食い込んで痛むかも知れない。
「やっぱり逃げられないんだ」と現実に直面して心が痛むかも知れない。
でも、
少しずつでいいからその「痛み」を飲み込めば。
少しずつでいいから、「挑戦」を諦めずに繰り返していれば。
「痛み」と「挑戦」のその先にある、「成長した自分」を知ることができたでしょう。
「人を成長させるもの」とは。
「自分自身の可能性を諦めない心」
「読書量で見える世界が変わる」という風刺画。
とても印象に残っています。
あなたはどの世界を見ていたいでしょうか?